東京表参道の一本裏
そのアパートはただ佇んでいた
大きなアパートはいくつもいくつも
庭だったところは雑木林と化し 檸檬なんかを実らせていた
誰一人いない
ゴミ捨て場には ポット、マットレス、机、イーゼル、額縁、鏡
あと数日で壊されてしまう ありがとう
どうか素敵なところへ飛んでいって
生まれるもの、枯れゆくもの、
刻々と変わる生命のある瞬間
私の心のしずくたちは
石となり地に降りた
そのすきまから
たくさんの命が顔を出し
勇気づけてくれる
少し光が遮られ風が通るその中は、とても気持ちが良かったのだ。
大地を感じ、大きな空に包まれて、
私がここにいるなんて誰も気づいていないし、どうでもいい。